
糖尿病
(とうにょうびょう)
■ 糖尿病について

●健康な人の血糖値
空腹時 70~109mg/dL
食後2時間 140mg/dL 未満
健康な人の血糖値は空腹時に70~109mg/dL、食後2時間で140mg/dL未満です。
食事をして血糖値が上昇すると膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値は低下します。
しかし、インスリンの作用が不足すると血糖値が高いままの状態が続きます。
■ 糖尿病の診断基準
① 空腹時血糖値が 126mg/dL 以上
② 随時血糖値が 200mg/dL 以上
③ HbA1c が 6.5%以上
①~③のいずれかに該当する状態を「糖尿病型」といいます
初回検査で①か②が「糖尿病型」となり、更に別日の再検査でも①か②が「糖尿病型」となった場合に糖尿病と診断されます
または、①か②が「糖尿病型」となり同時に③も「糖尿病型」となった場合や、①か②が「糖尿病型」となったことに併せて糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿)や確実な糖尿病網膜症の存在が認められる場合には初回検査時に糖尿病と診断されます
■ 糖尿病による合併症
血糖値が高い状態が続くことで全身の血管が傷付き
◇ 腎障害(糖尿病性腎症)
◇ 失明(糖尿病性網膜症)
◇ 手足のしびれ、痛み(糖尿病性神経障害)
◇ 心臓病
◇ 脳卒中
などの合併症がみられやすくなります


糖尿病になると
◇ のどが渇く
◇ トイレが近い
◇ 疲れやすい
などの症状がみられることがありますが、
初期には症状がみられないことが多く健康診断などを通じて診断されることが多いです

■ 治療方法
治療は生活習慣の改善が基本であり、食事療法、運動療法を行います。
これらにて血糖値の改善が不十分な場合に薬物療養が検討されます。
糖尿病の治療薬にはさまざまな種類があり、以下のような薬が使用されます。
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経口薬
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ビグアナイド薬: 肝臓での糖新生を抑制し、インスリン感受性を改善、小腸からの糖の吸収を抑制することで血糖値を調整します。1950年代から使用されている歴史のある薬です。
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DPP-4阻害薬: インスリン分泌を促進してグルカゴン分泌を抑制することで血糖値を調整します。
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GLP-1受容体作動薬: インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制作用により血糖の上昇を抑えます。また、食欲を抑える作用もあります。最初は注射薬のみでしたが、2021年に経口薬が市販されました。
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SGLT2阻害薬: 腎臓での糖の再吸収を抑制し尿中に糖を排出することで血糖値を下げます。慢性心不全、慢性腎臓病への効果・効能も認められています。
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SU薬(スルホニル尿素薬): 膵臓からのインスリン分泌を促すことで血糖値を下げます。ビグアナイドと同様に1950年代から使用されています。
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α-グルコシダーゼ阻害薬:二糖類分解酵素の作用を阻害することで消化管からの糖の吸収を遅らせ、食後の血糖値上昇を抑えます。
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速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬): 服用から効果発現までの時間が短いため、食後高血糖の改善効果が期待できます。
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チアゾリジン薬(ピオグリタゾン): インスリン抵抗性を改善することで血糖値を下げます。
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2. 注射薬
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インスリン:1型糖尿病、血糖コントロールが難しい2型糖尿病に使用されます。
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GLP-1受容体作動薬:インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制作用により血糖の上昇を抑えます。また、食欲を抑える作用もあります。
・GIP/GLP-1受容体作動薬:GLP-1だけでなくGLPにも作用することで、より一層のインスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制作用が期待できます。

食事療法
運動療法


薬物療法